相続・遺産分割
- 両親が亡くなったが、長兄が遺産の分け方を決めて、(一方的にサインしろと言ってくる。/遺産の内容を明らかにしてくれない。)が、どうしたらいいか。
- 兄弟で遺産の分け方を話し合うにあたり、どのように進めていけばいいかわからない。
- 兄弟で遺産をどのように分割するか話し合ったが、話し合いがまとまらない。
- 兄弟の一人が両親から受けた贈与は、遺産分割には関係ないと言っているが、本当か。
- 甥や姪が相続人になることはあるのか。兄弟の配偶者が相続人になることはあるのか。
- 祖父の遺産が見つかったが、誰が相続人かわからない。
- 両親の遺産がどのくらいあったのか、どうやって調べればいいのかわからない。
- 遺産を調べた結果、両親に借金があったが、払わなければならないのか

・離婚して,再婚した父親が亡くなったが,ほかにも兄弟がいると聞いていたが,前の結婚していた時の子供(異母兄弟)がいるかどうかわからない。
・前の結婚の時の子供(異母兄弟)も相続人になるのか。
・その子供(異母兄弟)が生死も含めて,どこにいるのかわからない。
・婚約していた相手が亡くなったが,その相手には,別れた相手との間に子供がいる。自分が身ごもっている子も,相続権はあるのか。
・身寄りのない友人にお金を貸していたが,亡くなった。貸したお金は返してもらえるのか。
・身寄りのない友人に部屋を貸していたが,亡くなった。貸していた部屋の荷物を片付けたいがどうしたらいいか。
・身寄りのない友人が,亡くなった。代わりに葬式をしたが,その費用はもらえないのか。
・夫が亡くなったが,夫は田舎に先祖からの土地をいくつか持っていると聞いていたが,詳細は一切知らないが,調査はできるのか。
・夫が亡くなったが,夫が持っていた預金や株式については,一切聞かされていない。これらの調査はできるのか。
・夫が亡くなったが,相続すると,夫の借金も負担しないといけないのか。
・夫が借金をしているのかどうか,借金をしているとしてどのくらいの借金なのかわからない。調査をすることはできるのか。
・夫が亡くなったが,夫は生前,隣の土地が自分のものとして争っている最中だった。この後どうなるのか。
・両親が亡くなったが,両親の財産は,小さな土地だけだった。兄弟がもう一人いるが,この土地の分け方は決まっているのか。
・夫が亡くなった。相続人の私と子供2人と相続の話をしているときに,貸金庫の鍵が出てきた。貸金庫はどう扱ったらよいか。
・父方の祖父が亡くなったが,私の父は既に亡くなっていたため,私は代襲相続人として相続権があると言われたが,祖父の相続については,私は相続するつもりはないが,どういう方法があるのか。3か月以上経っているが,何か方法はあるのか。
遺産分割
遺産分割とは、被相続人が亡くなった後、相続人全員で、遺産をどのように分けるかを決める手続です。
遺言がない場合や、遺言で分け方が決まっていない財産については、この遺産分割によって具体的な取得者を決めることになります。
遺産分割は、次の順序で整理して進めるのが基本です。
1 遺産分割の発生順序
相続は、被相続人が亡くなった時点で開始します。
その後、
遺言があるかどうかを確認する
遺言で定められていない財産について、遺産分割を行う
という流れになります。
※ 遺言がある場合でも、遺言に記載されていない財産については、遺産分割が必要になることがあります。
2 相続人の特定
まず、誰が相続人になるのかを確定させる必要があります。
配偶者がいるか
子、孫、直系尊属、兄弟姉妹がいるか
既に亡くなっている人がいないか
などを、戸籍を取り寄せて確認します。
相続人の確認が不十分なまま遺産分割を進めると、
後から別の相続人が判明し、やり直しになるおそれがあります。
3 遺産の範囲の特定
次に、どこまでが遺産に含まれるのかを整理します。
一般的には、次のようなものが対象になります。
不動産
預貯金
株式・投資信託
自動車・貴金属などの動産
借金などの債務
名義は被相続人でも、実質的に遺産に含まれないものがある一方、
名義が被相続人でなくても遺産に含めて検討すべき場合もあります。
4 評価
遺産を分ける前提として、それぞれの財産がどのくらいの価値なのかを確認します。
不動産の評価
預貯金の残高
株式等の時価
評価の方法によって、取得額に差が出ることもあるため、不動産などについては検討が必要です。
5 遺産分割の方法(分け方)
遺産の分け方には、主に次の方法があります。
① 現物分割
財産そのものを分ける方法
② 代償分割
一人が財産を取得し、他の相続人に金銭を支払う方法
③ 換価分割
財産を売却し、その代金を分ける方法
④ 共有分割
複数人で共有する方法
どの方法を選ぶかは、財産の内容や相続人の事情によって異なります。
6 その他
遺産分割では、次のような点が問題になることがあります。
生前に特別な援助を受けていた人がいる
被相続人の世話をしていた人がいる
相続人間の意見が一致しない
話し合いがまとまらない場合には、家庭裁判所での手続を検討することになります。
7 まとめ
遺産分割は、相続人の確定 → 遺産の確定 → 評価 → 分け方の検討という順序で進めることが大切です。
状況によっては、最初の整理を誤ったことで、後から修正が難しくなるケースもあります。
早い段階で全体像を整理することが、円滑な解決につながります。
遺言について
1 はじめに
遺言は「万一のとき」のためだけのものではありません
「まだ元気だから」「財産は多くないから」そう思われている方も多いかもしれません。
しかし実際には、遺言がなかったことで家族間に思わぬトラブルが生じてしまうケースは少なくありません。
一方で、適切な遺言があることで、相続が円満に進み、残されたご家族の負担が大きく軽減されることも多くあります。
遺言は、財産の分配を決めるだけのものではなく、ご自身の意思や家族への配慮を、きちんと法的な形で残すための手段です。
2 遺言とは
遺言とは、ご自身が亡くなった後の財産の扱いなどについて、生前に意思を表示しておく法的な文書です。
民法の定める方式に従って作成された遺言は、
原則として 相続人全員の話し合い(遺産分割協議)よりも優先 して効力を持ちます。
そのため、
・誰に
・どの財産を
・どのように引き継がせたいか
を、あらかじめ明確にしておくことができます。
3 遺言の種類
(1)遺言の主な種類
遺言にはいくつかの方式がありますが、実務上よく利用されているのは、主に次の二つです。
(2)自筆証書遺言
ご本人が全文を手書きで作成する遺言です。
特徴
費用をかけずに作成できる
思い立ったときに作成できる
注意点
書き方を誤ると無効になることがある
紛失や内容をめぐる争いが生じやすい
相続開始後に家庭裁判所の手続が必要になる場合があります
(3)公正証書遺言
公証人が関与し、公証役場で作成する遺言です。
特徴
形式不備による無効のリスクが低い
原本が公証役場に保管される
相続開始後の手続がスムーズ
注意点
費用がかかる
証人が必要になる
どの方式が適しているかは、財産の内容や家族関係によって異なります。
遺言に記載する基本的な内容
遺言では、次のような内容を定めることができます。
(4)基本となる記載事項
誰に、どの財産を相続させるか
不動産や預貯金の分け方
全部の財産を特定の人に相続させるかどうか
相続人以外の人に財産を渡す(遺贈)
遺言を実行する人(遺言執行者)の指定
これらを明確にしておくことで、相続発生後の混乱を防ぐことができます。
(5)その他記載事項
上記以外の時効であっても、このようなことも遺言で定めることができます。
遺言では、いわゆる「標準的な相続」以外にも、さまざまな意思を反映させることが可能です。
ア 家族関係に配慮した内容
内縁の配偶者に財産を渡したい
世話になった親族や知人に財産を残したい
特定の相続人には財産を承継させたくない
イ 条件や工夫を加えた遺言
一定の条件を満たした場合に相続させる
財産の分け方を第三者に委ねる
事業を後継者に引き継がせるための定め
ウ 財産以外の希望
葬儀や供養に関する希望
ペットの世話についてのお願い
家族へのメッセージ(付言事項)
※ これらの中には、法的な拘束力がないものもありますが、ご本人の意思として記載しておくことに意味があります。
4 遺言を作成する際の注意点
遺言は自由度が高い一方で、次のような点に注意が必要です。
形式を誤ると無効になるおそれがある
遺留分との関係を考慮しないと紛争の原因になる
表現があいまいだと、解釈をめぐって争いになりやすい
相続税や不動産登記との関係も無視できない
「とりあえず書いてみる」ことで問題が解決するとは限りません。
5 まとめ
遺言には、決まった正解や定型文はありません。
財産の内容、家族関係、将来への考え方によって、適切な内容は大きく異なります。
「この場合でも遺言に書けるのか」
「こういう書き方で問題ないのか」
そうした疑問がある場合には、早めに専門家に相談することで、選択肢が広がります。
当事務所では、遺言の作成に関するご相談を承っております。
特別寄与分について
特別寄与者制度(1050条)の概要
特別寄与者制度は、相続人以外の親族が被相続人に対して無償で療養看護その他の労務の提供を行い、その結果として被相続人の財産の維持または増加に特別の寄与をした場合に、相続人に対して金銭(特別寄与料)の支払いを請求できる制度です。対象となる親族は、6親等内の血族、配偶者、3親等内の姻族に限られ、相続人、相続放棄者、相続欠格者、廃除者は除外されます。
「特別の寄与」が認められやすい典型的な事例
- 長期間にわたり被相続人の介護や療養看護を無償で行い、その結果として介護費用の支出を免れた場合(例:深夜の排泄介助を含む専従的な介護)。
- 家業(農業・商業・医療法人等)に主として従事し、被相続人の財産の維持・増加に大きく貢献した場合。
- 被相続人の経済的苦境を救うために事業資金を提供し、倒産を免れた場合。
- 被相続人の生活費や家計を長年にわたり支え、財産の維持・増加に寄与した場合。
- 被相続人の入院期間中の看護や、死亡前の介護を本来家政婦等を雇うべき状況で無償で行った場合。
これらの事例では、無償性・専従性・継続性・通常の扶養義務を超える貢献が認められやすい傾向があります。
「特別の寄与」が認められにくい・否定された事例
- 単なる親孝行や配偶者としての一般的な貢献、通常期待される範囲の扶養・協力。
- 学業の合間の手伝いなど、主たる従事といえない場合。
- 被相続人から実質的な対価や報酬を受けていた場合。
- 既に贈与等で十分に報われている場合。
- 被相続人の資産運用による利益のみを寄与と主張し、損失リスクを負担していない場合。
- 親族の範囲外の者(内縁の配偶者や友人等)による貢献。
これらのケースでは、特別の寄与として認められない、または寄与分が否定される傾向があります。
判断基準・要件の整理
- 無償性:報酬や対価を受けていないこと(生活費や小遣いの受領があっても、他の相続人も同様なら無償性を否定しない場合あり)。
- 専従性・継続性:主として長期間にわたり従事していること。
- 通常の扶養義務・協力義務を超えること:親族間で一般的に期待される範囲を超えた特別な貢献であること。
- 財産の維持・増加への具体的寄与とその因果関係が明確であること。
- 寄与行為が「療養看護その他の労務の提供」に限定され、財産上の給付や労務以外の方法は対象外。
特別寄与料請求の手続・期間制限
- 特別寄与者は、相続開始後に相続人に対して特別寄与料の支払いを請求できます。
- 請求は、相続の開始および相続人を知った時から6か月以内、または相続開始の時から1年以内に行う必要があります。
- 協議がまとまらない場合は、家庭裁判所に対して協議に代わる処分の申立てが可能です。
- 家庭裁判所は、寄与の時期・方法・程度・相続財産の額その他一切の事情を総合的に考慮して特別寄与料の額を定めます。
- 特別寄与料の額は、被相続人が相続開始時に有していた財産の価額から遺贈の価額を控除した残額を超えることはできません。
まとめ
特別寄与者制度は、相続人以外の親族による無償かつ特別な貢献を金銭的に評価するための制度です。認められやすいのは、長期間・専従的な無償介護や家業への主たる従事など、通常の扶養義務を超える明確な貢献があった場合ですが、他方で、単なる親孝行や一般的な協力、既に報われている場合などは認められにくい傾向にあります。また、請求に際しては、期間制限があります。
相続に関するご相談は、度々いただく事柄です。
また、その中には、最近、ご両親等が亡くなったので、これからどうしていけばいいのかという手続きのご相談から、相続人同士で話をしてきたが、どうしても折り合いがつかないという相談まで、種々あります。
相続人同士で折り合いがつかないというご相談からご依頼いただき、調停等裁判所を利用した手続に進むことも少なくありません。
近しい方が亡くなり、悲しい思いをされているところに加えて、その相続でやはり近しい方々で争いになることは、当然、望ましいことではありませんし、心身の負担は大きいものと思われます。

当然、亡くなったご本人も、自身が亡くなった後、争いになることは当然望んでいないことと思います。
これを予防するために最も有効なことは、ご本人の意思をしっかりと記載した遺言書を残すことです。
